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黄色い本
(表紙画像は初版に限りません。新装版や電子版等の場合もあります)
あらすじ
寡作ながら時代のはやりすたりに流されない漫画を描き続ける、高野文子の4冊目の短編集。モダンで柔軟な絵柄と、ユーモラスかつ静謐(せいひつ)な描写と、高度で緻密な演出。これらが絶妙なバランスで同居する彼女の漫画の中には、さまざまな驚きと発見が隠されている。
たとえばロジェ・マルタン・デュ・ガール著『チボー家の人々』を題材にした表題作は、読書の醍醐味そのものを再発見させてくれる。主人公の女学生は、流れていく日々の生活の中で『チボー家の人々』をゆっくりと読破する。極端に言えばただそれだけの物語。しかし、だからこそ『黄色い本』には、本を読む習慣のある人間にとってたまらない感動が詰まっている。いい本に出合い、その世界の中に没入して読みふけり、ある種のせつなさと共に読み終える。この一連の流れの中で抱く読者の複雑な気持ちが、さりげないあの手この手によって見事に再現されてゆく様の、なんとみずみずしく美しいことか。
ほかに収録されているのは、縁の不思議を絶妙に描く2つの短編と、オリジナルとは視点を切り替えて描かれた冬野さほの短編漫画のカバー。どの内容も、一度読んだだけではとても味わいきれないほど奥が深い。よく理解できない箇所があっても、描写を手がかりに想像を駆使しつつ読み込めば、見えてくるものがある。そして、ああ、そうだったのか!と一度感動したら、また何度もじっくり読み返したくなる好循環。まさに一生ものの1冊。(横山雅啓)
作品データ
全1巻
作者:
高野文子
(1件)
掲載誌:
アフタヌーン
開始:
1999年10月
終了:
2000年2月
(開始・終了年月は基本的に連載時ではなく単行本発売時です)
ジャンル:
短編集
(推定)
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